« 千曲市叙景2  7月6日 | トップページ | 千曲市叙景4  7月21日 »

2011年7月29日 (金)

千曲市叙景3  7月14日

 わが家の裏山は、巨大なネオンサインが設置された「城山」へと続いている。つい最近まで山頂の寺院は「城泉山観音寺」と言っていたのだが、現在は「善光寺大本願別院」に変更されている。麓の平地から300mほどの高さの城山山頂には「戸倉上山田♨」という文字の巨大なネオンサインが右から左へと配置され、七色に輝いていた。

 東日本大震災による福島原発問題の影響で中部電力の浜岡原発が菅総理によって停止された。七色のネオンが現在点灯していないのは、そうした一連の出来事の影響による節電を始めたからだ。そんな理由ではあっても、消しておけるのは地元観光団体としては好都合な面もあるだろう。あれだけの巨大なネオンを毎日深夜まで点けておく電気料金は決して安くはない。

 あのネオンは新幹線ができる前の特急あさまの時代、東京から帰る夜汽車の車窓から見える「ふるさとの灯」だった。当時、赤一色でゴシック体のネオンは、いかにも色街の風情たっぷりの怪しげな雰囲気を眼下に広がる旅館街に振り撒いていたものだったが、現在の行書の七色は、過去の怪しげなイメージを一掃してしまったようだ。

 万葉橋を渡って、温泉中央通りを右折せずにそのまま直進すると、城山の上り口にぶつかる。そのまま進むと急な山道が山肌に刻まれ、右手眼下に温泉街を見下ろしながら中間の展望台に出る。そこから折り返して少し進むと道は平らになり左手に温泉街、右上に大本願別院が姿を現す。

 電球でかたどられ、下界からはどう見てもラブホテルに見えてしまうこのお寺はコンクリート造りで、昭和40年に完成した。見晴らしがよく、上田から長野までを一望できる東向きの手すり付近には100円で見ることができる昔ながらの双眼鏡が設置されている。

 本堂正面には赤い大きな提灯が吊り下げられており、その上の天井には龍の絵が描かれている。私の小さい頃は節分のイベントで力士や芸能人が豆をまきにやってきたものだ。落花生と一緒にマッチの空き箱が投げられて、その中に大小のダルマなどの「当たり」が入っていた。今でも節分の豆まきはおこなわれていて、地元の関係者が豆をまき、豆まき好きな地元の人々が、エプロンを着けたりパーカーを着たりしてマッチ箱の捕獲率向上に余念がない。

 本堂裏側の豆まき会場から山手、すぐのところに「澳津神社」がある。その昔、この山頂付近で発見されたと言われる男性器、女性器をかたどった巨石が祭られ、子宝祈願や縁結びの神社として有名だ。「澳津彦命(おきつひこのみこと)」と「澳津姫命(おきつひめのみこと)がそれぞれの御神体の名前になっているという設定らしいが、澳津彦・姫は本来かまどの守り神だ。

この石のシンボルから魂を分けてもらった木造のレプリカを神輿に乗せて盛大におこなわれる祭りが、戸倉上山田温泉夏祭りだ。これを書いているのが2011年7月14日木曜日なので、今年の夏祭りの直前ということになる。

 昭和3年に勇獅子のみで始まったこの祭りには、後年多くの神輿が加わり、盛期には300人いたといわれる芸妓衆が担ぐ神輿が2基出ていた時代もあった。時代と共に観光形態も変化し、おねえさん方がお座敷に呼ばれなくなり、また、そうした厳しい芸能の世界へ飛び込む女性の数も激減したため、現在では芸妓衆の神輿はなくなってしまった。そのかわり「華神輿」という地域の女性たちが担ぐ神輿が2基登場し、好評を博している。そもそも、この温泉地は観光とともに芸能を支えた女性たちによって発展した。芸者衆は言うに及ばす、旅館の女将や気の利く仲居さん、商店の看板娘、スナックのママなど、観光地の「顔」は常に女性で占められてきたのだ。男性の神輿が2基なら、女性の神輿も2基。100個の赤い石を見つけるためにがんばったお政も女性だ。今でこそ複雑な観光業を切り回すのに旦那衆は必死だが、その昔はすることもなくぶらぶらしていても旅館は繁盛した。そうした「暇な」旦那衆が暇に任せてあれこれとイベントを考えたり、太鼓を叩いたり、温泉観光地の集客の仕組みづくりに専念してきた。それができなくなってきたことも、この温泉地が低迷を続ける理由のひとつではないだろうか。

 私は「若連委員長」という大きな役を昨年無事終了し、今年は「若連相談役」という役に納まっている。この大きなイベントを纏め上げるのは困難を伴う大仕事だが、東日本大震災後、地域の力が問われる時代となった今、この祭りを盛大にやり遂げることで地域力を充填し、若者がお互いの顔をよく知る仲間の輪を広げていくことで、地域は活性化されるように思う。

出る人も見る人も、自分の祭りとして心ゆくまで楽しんでほしいものだ。

|

« 千曲市叙景2  7月6日 | トップページ | 千曲市叙景4  7月21日 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/55400/41001950

この記事へのトラックバック一覧です: 千曲市叙景3  7月14日:

» 檀れい ラブシーン 映画 [【動画】檀れい ラブシーン]
檀れい ラブシーン 映画が公開してあります!及川光博 ハワイでびっくり仰天ニュース! [続きを読む]

受信: 2011年7月29日 (金) 15:25

» 安心と信頼の調査業協会 [一般社団法人近畿調査業協会]
探偵業務の御用命は任せて安心の近畿調査業協会会員業者にお気軽にご相談下さい。 業者の品位と資質の向上の為に教育研修会を実施している協会です。 探偵業者とのトラブルでお困りの際等も当協会にご相談下さい。 [続きを読む]

受信: 2011年7月30日 (土) 12:11

« 千曲市叙景2  7月6日 | トップページ | 千曲市叙景4  7月21日 »